通り過がりのあなたへ
雨音がBGMを遮るほどの夕立が
窓の外で騒いでいる
私はリビングから窓見上げて
前が見えない世界を眺めながら
蒸し返す暑さの中注ぐ琥珀色の珈琲に
今年初めての氷をふた欠片落とした。
ただでさえやる気の出ない黄昏時
しかもダラけるのにはおあつらえ向きの
空模様を見てミルクを注ぐのを止めた。
冷えきったビターな口当たりで
誤魔化す不快指数は
ほんの少しだけ肩を落として
私に梅雨の威力を見せつけている。
あーあ。
私に魔法が使えたらな…と
人差し指を宙に舞わせてクルッと
一円を描いた瞬間稲光
もうカエルも鳴かぬ激しい雨の中
私は諦めて床に寝転がる
部屋のどこからも映る窓の外の
あなたを見あげながら寝転がる
明日晴れますように…と呟きながら。
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